元自動車整備士ライターが 体 当 た り 取材!
プレストンスーパーパフォーマンスプレミアムの効果を検証してみた
世の中には、「入れるだけ」で燃費改善やパワーアップするという燃料添加剤がいくつも存在します。いくらそれっぽい成分が書いてあっても本当に効果が得られるものなのか?効果があるとしたらどんな仕組みなのか?と疑念や疑問を持っている方も多いと思います。
そこで、自動車整備士・検査員として15年以上現場経験のある筆者が、その仕組みと効果の真意について体当たりで取材していきます。
今回ご紹介するのは、武蔵ホルトさんが販売する燃料添加剤「プレストン スーパーパフォーマンス プレミアム」シリーズ。日本国内において、まだまだ馴染みが無いという方も多いかもしれませんが、プレストンは1927年に創業したアメリカNo.1のクーラント・不凍液メーカー。まさに知る人ぞ知る世界的に有名メーカーであり、信頼性は間違いのないものです。
エンジンオイルや燃料に入れる添加剤は、車の外装を磨くワックスのように見た目や使い心地で良し悪しを判断することができません。そういった点で言えば、90年以上歴史のあるプレストンは、安心して使える商品であることに間違いありません。
武蔵ホルトさんが販売している「プレストン スーパーパフォーマンス プレミアム」シリーズには、愛車のタイプや状態によって選べる3種類の商品がラインナップされています。
まず商品の中心的存在と言えるのが、黄色いボトルの「プレストン スーパーパフォーマンス プレミアム」。4サイクルのガソリンエンジン車専用の添加剤で、70Lまでに対し1本(200ml)入れます。使用の目安は5,000km~8,000kmです。
続いて、黒いボトルがカッコいい「プレストン スーパーパフォーマンスプレミアム軽自動車用」。こちらは排気量が小さく、近距離を走行することが多く、パワーが必要とされる軽自動車に特化した配合に調整された商品で、30Lまでに対し1本(150ml)入れます。特徴は同比率であれば4サイクルバイクにも入れることができること。使用の目安は2,000km~3,000kmです。
そして、今回新発売されたのが「プレストン スーパーパフォーマンスプレミアム ハイマイレージ」。ハイマイレージと名付けられているように、走行距離が50,000km以上の多走行車に最適化されています。用量はスーパーパフォーマンス プレミアムと同じ70Lまでに1本(200ml)で、使用の目安は5,000km~8,000kmです。
タイプの異なる3種類のラインナップが揃い、信頼性も申し分ないスーパーパフォーマンス プレミアムシリーズですが、本当に効果があって安心して使用できるのか?
次の章からは、都内にある武蔵ホルト社にお邪魔し、メーカー担当者と開発者の方に直接お話を伺った様子をお伝えします。
いろいろと貴重なお話を伺ってきたものの、果たして本当に効果はあるのか、やはり少々不安と疑念が残ります。データやお話だけでは、一般ユーザーの方に安心しておすすめすることはできません。
論より証拠ということで、実際に筆者が普段仕事の足として乗っている自家用車に「プレストン スーパーパフォーマンスプレミアム ハイマイレージ」を使用させてもらい、その効果をご報告していきます。
筆者の愛車は、2011年式のフォルクスワーゲン ポロTSI(6R型)。現走行距離は約65,000kmで、もっぱら取材や打合せといった仕事の足として使っています。
商品が到着してすぐ、燃料が約半分の状態で「プレストン スーパーパフォーマンスプレミアム ハイマイレージ」を入れ、燃料を満タンにしました。当然ですが、ガソリンスタンドを出た直後の感想はいたって変化は感じられません。
それから、ちょうど15km程度移動する用事があったため走っていると、信号待ち後の再発進で車が軽くなったような印象を受けました。例えるなら、助手席の妻を下ろして一人乗車になったような感覚です。
6R型のポロには、7速の乾式DSGという特殊なトランスミッションが搭載されています。構造について詳しい説明は省きますが、このトランスミッションは優秀である反面、やや癖のある代物。ブレーキからアクセルに踏みかえたとき、自動で繋がるクラッチの状態を感じながら徐々にアクセルを踏まなければ、発進がギクシャクしてしまいます。
しかし、本品を入れて15km程度走ったころ、そのギクシャク感が出にくくなっていました。僕なりにその理由を考えてみたのですが、この乾式DSGのギクシャクは、トルクの細い小排気量ゆえ出てしまう“クセ”であり、ギクシャクしにくくなったのは、素直にトルクが増したということになります。
もちろん、劇的にトルクアップしたわけではありませんが、「プレストン スーパーパフォーマンスプレミアム ハイマイレージ」を入れたことによる効果のひとつと考えて間違いありません。
次に気になる燃費ですが、これは初回使用時推奨の2回連続注入から1回目よりも2回目を入れた後の方で明らかな差が見られました。
愛車の6R型ポロTSIのカタログ燃費は、JC08モードで20km/L(前期型)ですが、実用燃費は平均14km/L程度です。もちろん、ストップ&ゴーを繰り返す街中ばかり走っていると、13km/L台にまで落ち込みます。
そんな愛車に「プレストン スーパーパフォーマンスプレミアム ハイマイレージ」を2回連続で入れてみたところ、市街地中心のほぼ同じ走行条件で燃費が向上。あくまで搭載されている燃費計での値ではありますが、13.4km/Lが14.8km/Lになっていました。
燃費計での差は1.4km/Lとわずかな変化に感じるかもしれませんが、年間10,000km走行する方なら、約71Lも節約できることになります。燃料代が年々上昇していく昨今の状況を鑑みれば、この差は決して小さいものではありません。
燃費が向上した理由を考えると、やはり注入直後から感じていたトルクアップが大きく寄与していると考えられます。
街中では、一息に40km/hまで加速することよりも、先行車の後ろについて10km/h~20km/h程度の速度でのろのろ走る時間が多いものです。エンジンのトルクがアップしたことで、その速度域でアクセルを踏む量が減り燃費が稼げたということが考えられます。
当然ですが、燃費は運転の仕方や環境によって差がでるため、必ずしも今回のようなはっきりとした燃費の改善がみられるとは限りません。しかし、「プレストン スーパーパフォーマンスプレミアム ハイマイレージ」のテストとしては、十分その効果を知ることができました。
燃料添加剤は、いわゆる「プラシーボ効果商品」と言われているアイテムのひとつです。しかし、今回の検証結果では、その効果をハッキリと体感することができ、決してプラシーボだけではないことが分かりました。
ガソリンエンジンには、「良い圧縮」「良い火花」「良い混合気」という3つの欠かせない要素があります。そのうち、プレストン スーパーパフォーマンスプレミアムシリーズの商品は、「良い混合気」という要素に働きかける添加剤でしょう。PEAがインジェクターを洗浄することでガソリンの噴霧状態を正常にし、PS-HCハイコンバッションの働きで燃焼を促進されることでエンジンの爆発力が向上すると考えられます。
どんな高級車であっても、ガゾリンを燃料にしている限り、燃焼室やインジェクターの汚れは避けることができません。年々高騰している燃料代の抑制はもちろん、長く快適に乗り続けるためにも、愛車に「プレストン スーパーパフォーマンスプレミアム」シリーズを入れてみてはいかがでしょうか。
取材・記事/撮影:増田真吾
プロフィール
国産車ディーラー、車検工場でおよそ15年自動車整備士として勤務したのち、大手中古車販売店の本部業務を経て、急転直下で独立しフリーの自動車ライターに転身。
国家資格整備士と自動車検査員資格を保有し、レースから整備、車検、中古車、そしてメカニカルな分野まで幅広い知見を持つ。昔の彼女が付けた肩書は「熱血太鼓車バカ」。